曖昧

 それから飛び起き慌てて影山の膝の上から消えた女

 もう二度と会うことはないと思っていたが、

 意外なことに影山の通っていた居酒屋で再開を果たした。

 女は影山の事を覚えていなかったが、

 影山はしっかり記憶に刻みつけていた。

 酒に強いのかと思い、見ていると、

 弱い‥‥‥

 酔って知らない男について行くんじゃないかと

 いつもハラハラしながら見守っていた。

 その間に名前も家の場所も知った。

 佳奈の友達が影山の友達の知り合いってことも気がついたが、

 黙っていつも静かに一人酒を呑んでいた。
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