夢、戯れ
彼は研究者で、私は使えない助手で。
私は彼に思いを寄せていて、でも彼はそうではなくて
一方通行の叶うはずのない恋心が、彼の優しさに触れるたび疼いた。
いっそ、闇がさらってくれればいい。こんな想いなど。
『美琴』
「っ」
胸が、小さく、疼く。
鼓膜に震えた声は、確かに彼の声で
恐る恐る振り向けば、無表情で真っ直ぐ私を射る彼の瞳があった
「は、い」
小さく、目を反らす。それでも感じる自然にぎこちない返事しかできない
すこし、彼が近くに見える