ビッグマンズ2
  「一流の人間になりたい」―――  私は漠然とではあるが、そう念じた。
 何において、とかは全く考えずに。 何も有名人になりたいとか、そういうことじゃない。


 普通の人から見れば何でもないけど、見る人が見れば、とてもきれいに光る石、何かそういうものだ。


 だって、ここは反面教師がいっぱいいるから、そういうことが、とても大事に思える瞬間が日常の中にたくさんある。


 例えば、シェフパンチのホールのオバサン、山本純子。  オバサンといっても42歳で、そう呼ぶべきかどうか微妙な年齢だ。 


 たぶん、彼女がもし、もっと尊敬すべき人物であったなら、私もオバサンなどとは決して呼ばないだろう。   しかし、彼女と話したあと(仕事ぶりやなんかを見ていても)、それが例えどんなに短くて、くだらない内容だったとしても必ずと言っていいほど、「こういう人間にだけは絶対なりたくない。こうなってしまったら終わりだ」と思ってしまう。



 それはもう、「腹がたつ」を通り越して、「かわいそう」といったレベルだ。
 
 
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