悪魔の君(仮)
高校が始まった

友達だって作った仮のね

もう、大切なものなんて作りたくない

作ったって壊れていくだけ

私はよく学校をさぼったりした

でも、隆二さんは何も言わなかった


隆二さんも何かと分かっていたんだろう。

まだ仕事はしていない

いつから始まるかもわからない


お父さんとお母さんがいなくなってから

毎日のように泣いていた

誰にも気づかれぬように


今日も高校の屋上で泣いていた

この歳になって泣くのはおかしいと思うだろう

でも、まだ心のポッカリ空いた穴がふさがらない

今でも鮮明に覚えてる事件


もしあの時ケーキで電気を消していなかったら、

今でも笑い会えていたの?

こんな私じゃなかった?

お父さんの声が聞きたい

お母さんの声が聞きたい

もうそれはかなわない事


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