危険な瞳に恋してる
「……紫音ちゃん。
 いつもここにくる前に、眠れるお薬を飲んでくるの」

「それって……睡眠薬?」

「まあ……そうね。
 ちょっと、いえ、だいぶ、かな?
 ……強いお薬だから。
 あんな風に、ぱたっと決まった時間に、寝ちゃうのよね。
 ……そして。
 一時間半は何をしても起きないわ。
 これが、紫音の限界時間。
 昨日は、調整してお薬を飲んでなかったから起きてたけど、普段は……ね。
 いつものコトだから、大丈夫よ」

 薫ちゃんの説明に、わたしは驚いて聞いた。

「なんで……そんなお薬なんか……!」

 紫音の眠り方から見ても、あれが、身体に良いわけがない。

 わたしの質問に、薫ちゃんは、指折り数えるように説明した。

「紫音ちゃん。
 夜は、丸々ホストのお仕事だし。
 昼間も何か、お仕事をしているみたいよね。
 春陽ちゃん……
 紫音ちゃんのコト、先生って言ってたし。
 さっきの話からすると、塾かなんかのバイトでもしてるのかな?」

 あ……わたし。

 紫音に、先生って呼ぶなとも……言われていたのに。

 薫ちゃんに、言っちゃった……!

 
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