危険な瞳に恋してる
 わたしが聞くと、あきらクンは、ぶんぶんっと頭を振った。

「つまんねぇ。
 何、春陽ちゃんって、村崎の事、そんな味も素っ気も無く呼んでんの?
 ちがうでしょ?
 春陽ちゃんが、普段呼んでる呼び名を教えてよ。
 それを、みんなで呼ぶからさぁ」

 言われて、え……っと言葉に詰まる。

『紫音』って言うのは……やっぱりマズい、よね?

 わたしが、言い渋っていると、あきらクンは、あっさり、あきらめた。

「じゃあ、僕が勝手につけるよ?
 いいかな?
 音雪(おとゆき)クン……は、座り悪りいな。
 おっちゃん、とか」

「「「おっちゃん!?」」」

 思わず。

 三人の声が、ハモった。

 あきらクンは、一瞬、その意味に気づかす、クビをかしげていたけれど。

 次の瞬間、気づいて爆笑した。

「おっちゃん!
 いい、それ、いい!
 村崎って、普段から妙に落ち着いてて、ジジクサかったりするから、丁度ぴったしだよ!
 おっちゃん、採用しよう♪」

「……宮下……」

 さすがに。

 紫音の瞳が、ぎらり、と光った。

「なあに、おっちゃん」

 紫音がキレかけているのを知ってか、知らずか。

 あきらクンは、へらへらと笑う。

 
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