危険な瞳に恋してる
「ナニこれ。
 んだよ~~
 紫音の瞳って、超、個性的じゃん。
 本当に、人間?
 実は、吸血鬼とか言い出すんじゃないだろうな?」

 お化け屋敷から出たとたん。

 あきらクンは紫音に、言った。

 なにしろ。

 お化け屋敷は、ヒトがお客を脅かすタイプのやつだったから。

 わたし達を脅かそうとやってきたヒトたちは。

 人魂みたいな紫音の瞳に、反対に脅かされ。

 たぶん、半分くらいのお化けのヒトは。

 仕事、してなかったんじゃないかなぁ……?

 それでも、あきらクンと、お化け係のヒトは。

 ずいぶんぎゃーぎゃー騒いで驚いたけれど、紫音は一人、やっぱり静かで。

 お化け屋敷を、出てくるまで、ちよっと怖かった、わたしの手を握っていてくれたんだ。

 お前の目は、お化けより、怖いぞ! と断言するあきらクンの言い種に、紫音はため息をついた。

「一体、何の話をしているんだ?
 オレは、フツーだよ。
 ただ、ヒトと違う所は……」

「ところは?」

 聞き返すあきらクンに、紫音は、ふっと笑った。

「ちょっと、良い男なぐらいで」

「……なかなか、言うね。
 紫音クン。
 でも、それ、笑えねえよ。
 悔しいけど、本当だからさ」

 
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