危険な瞳に恋してる
 あきらクンは、ちょっと笑った。

「でも、本当にその目ってなんだ?
 お前とは、飲み会一つ行ったこと無かったから、今まで知らなかったよ。
 多分、太陽なんかの自然光を遮断して、蛍光灯とかの人工光を当てると、紫色に光るんじゃないのか?
 最新のカラー・コンタクトだったら僕も試してみたいけど。
 ……ちがうよな?
 カラコンだったら、もっと見せびらかしたがるハズだし」

 あきらクンの言葉に。

 紫音は、自嘲気味に笑った。

「ああ。
 カラコンではない。
 それに。
 ちょっとやれば、誰でもあっという間にこんな目になる。
 だけど、宮下には勧めないぜ?」

 外に出て、黒に戻った紫音の瞳が、きらり、と光る。


「これは、オレの弱さの証明みたいなものだ。
 ……そんなに、かっこいいもんじゃ、ない」

「ふぅん。
 ま、いいや」

 紫音の言葉にあきらクンは、ちらっと真面目な顔をして。

 あっさり話題を変えた。


「それより、腹減らね?
 昼は、どうしょうか?」

 強引に変わったあきらクンの話に、紫音は、軽く笑った。

「ああ。
 オレが弁当を作って来た」
 
 
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