危険な瞳に恋してる
 

「「「お弁当~~!?」」」

 今度は、紫音以外の三人の声がハモった。

 お弁当って……やっぱり、ダーク・クラウンで作ったのかな?

 ホストの仕事の合間に?

 驚いているわたしを察して、紫音は、そのとおりとばかりに、親指を立てた。

「おお。
 そこらの飯屋で食うより、絶対美味いと保障するよ、守屋」

 わたしは、紫音が、社会科準備室で、ローズヒップティを入れてくれたのを思い出していた。

 あれから、わたしも同じ葉っぱを買って入れてみたけれど。

 どうやっても紫音が入れてくれたみたいに、優しい味にならなかったっけ。

 忙しい中作ってくれたお弁当は、また。

 きっと、優しい味がするに違いない。

 わたしは、嬉しくて、思わず顔がほころんだ。

「家族連れでもないのに、ピクニックエリアで、お弁当かぁ~~?」

 さすがに、ちょっと恥ずかしいぞ?

 という、あきらクンを押しのけて、柴田が叫ぶ。

「いいなぁ、春陽~~
 手作りのお弁当~~
 あたしも欲しいな、食べたいなっ♪」

 そんな柴田を見て、紫音がちょっと笑った。

「多めに作ってきたから、宮下たちも食うか?」

「ほんと?
 いいの?
 わーい、いただきます。
 あきらクン、もし食べないんだったら、あたしが貰っとくからね♪」

 そこらのラーメン屋で、一人でご飯食べる気?

 と柴田に言われて、あきらクンも、しぶしぶついてくることになった。

 もう、柴田ったら。

 
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