危険な瞳に恋してる
「や~~ん。
 美味しいご飯食べて、ゴキゲンだったのにぃ~~」

 柴田は、恨めしそうに、空を見た。

「これから、どうする?
 雨の中、遊園地にいるのはヤだけど、まだ、昼だし。
 どっか移動しようか?」

 あきらクンの言葉に、紫音がちょっと肩をすくめた。

「演劇に興味があるなら、オゴってやろうか?
 今から行けば、開演までに間に合うから」

「演劇~~?」

「ああ。
『スター・キャッツ』っていう奴でよければ。
 本当は、このダブル・デートがなかったら、守屋と行く予定だったんだ。
 あんたたちは、オレの弁当をエラく美味そうに食ってくれたし。
 今日のチケットは、オレが出してやるよ」

「なんだって?
『スター・キャッツ』!?」

 あきらクンが驚いて目を見開いた。

「そんなの、演劇知らん僕だって名前を聞いたことがあるよ?
 でも、そーいう舞台ってさ。
 映画とちがって、何ヶ月も前から席を予約しなくちゃ見られないんじゃないか?
 しかも、そんな有名なやつって。
 あっという間に売り切れて、当日券なんか、立ち見だって無理だろう?」

 あきらクンの心配に、紫音は、笑って言った。

「その心配はない。
 来る気があるなら、ちゃんとあんた達の分の席も、開けてやれるから」
 
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