危険な瞳に恋してる
「……それに、絡まれた原因は、宮下のせい、ばかりではないようだ」

「何だって……?」

 紫音の声に、見れば。

 集まって来た、怪しげな男たちの中に、見た顔が一人混ざっていた。

「……あ、あのヒト……!」

 わたしが紫音の上着を引っ張ると、紫音は、小さくうなづいた。

「この前、守屋を買おうとした莫迦だ」

 や、やっぱり……!

 ……どきどきする。

「こんな広い街の。
 この前とは、場所や時間も違うのに、知り合いでもない奴ともう一度会うなんて、偶然にしてはデキ過ぎだ」

 紫音の目が、険しくなる。

「ドコかで、ナニかが動いているのかもしれない……」

「やあ。またあったな」

 その、いやらしいオジサンは、紫音と目が会うと、すごく下品に笑った。

「ダーク・クラウンの紫音じゃないか?
 こいつらが、あんたの連れだって言うなら、ますます許しちゃおけねぇな。
 また、今日も、お金で解決してくれんのかな……?
 その女を買ったときみたいに、ぽん、と百万ぐらい出してくれんのかな……?」

 
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