危険な瞳に恋してる
「……?
 ダーク・クラウン?」

「百万で買った……って、春陽を……?」

 や、やば……っ!

 ま、まず……っ!!

 ばっちり聞こえた、オジサンのセリフに、あきらクンと柴田は、今の状況をすっかり忘れて驚いている。

 何とかしなくちゃ!

 えええっと……!

 おたおたしていると、紫音は。

 服の裾を握り締めているわたしの手をそっとはずし。

 ぐぃ、とあきらクンを押しのけて前に出た。

「あんたらにやる金は、ない。
 そいつの、転んだ値段が百万なら、オレの連れを殴った値段は、一千万だ。
 あんたらに、出せるのか……?
 最近のやくざは、見るからに、サイフが軽そうだが?
 きっと、頭が猿並みで、女からも金からも、愛想をつかされたんじゃないか?」

「な……なに!」

 せせら笑っている紫音に。

 やくざたちは、皆、一様に色めきたった。

「九条さんは、なるべくコイツ自身には手を出さすなと言ってたが、かまうこたぁねぇ!
 この、口のへらねぇヤツから、たたんじまえ……!」

 一斉に、殴りかかってくるやくざに、紫音は、ふん、と笑った。

「……後ろにいるのは、アヤネか」
 
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