危険な瞳に恋してる
「なあ……ダーク・クラウンって、確かにどっかで聞いたんだけどさ。
 暴走族だったっけ?
 チーマーだったっけ?
 いい年して、まだガキの遊びに付き合ってるのか?」

 この騒ぎを聞きつけて。

 やって来たお巡りさんを避けるように、移動しながら、あきらクンは、紫音に聞いた。

 けれども。

「………」

「……悪かった、も、聞かないよ」

 紫音に睨まれて、あきらクンは、ちらっと舌を出す。

 さすがに。

 圧倒的だったとは言っても。

 ケンカで殺気だった紫音をおちょくる気には、ならなかったみたいだった。

 柴田に至っては、あきらクンの腕にぶら下がったまま、離れない。

 紫音を怖がっているようにも見える、柴田の背中をポンポンと叩いて、あきらクンは真面目な顔で言った。

「僕のケンカを引き受けてくれてありがとう、紫音。
 冷静になってみれば。
 さすがに、僕だけじゃ萌ちゃんを守りきれなかったよ」

 あきらクンに、紫音は、危険な肉食獣の顔で微笑んだ。

「だから。
 あんたのせいばかりじゃないと言っている。
 それに。
 オレは、なるべく早く守屋と二人きりになりたかっただけだ」

 
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