危険な瞳に恋してる
「紫音……?
 紫音……!?」

 イヤな予感に声が高くなる。

「どうしたの……?
 ナニがあったの………!
 ここを開けて!」

 わたしは、必死に叫んだのに、自動ドアは、ビクともしない。

「先輩……!
 どうしょう……!?」

 加藤先輩は、がしがしとアタマを掻いた。

「いつも、俺は夜のウチにクラウンをあがる。
 だけど、昨日、紫音さんは。
 珍しくおかまと言い争った挙げ句、酒をホールでだけじゃなく、控え室でも莫迦みたいに飲んでいたんだ。
 見てられなくて、今日は、さっきまで付き合ってたんだけど………」

 先輩は、拳を握った。

「ずっと、酒を飲んでて、俺じゃナニ言ってもやめようとしないんだ……
 あれじゃ、ぜったいカラダを壊す……どころじゃねぇ、ペースでな。
 やっと、家まで連れて帰って来ても、まだ、飲んでるんだ……!
 俺がダメでも、守屋なら、止められるかと思っ……!!」

 加藤先輩は、わたしを押しのけるようにして叫んだ。

「紫音さん……!
 開けないと、このまま、守屋をさらって、ホテルに直行するからな……!」

「せ、せ先輩っ!」
 
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