危険な瞳に恋してる
 


 紫音の部屋の鍵は、開いていた。

 おそるおそる扉を開くと……ものすごい、アルコールの臭いが、鼻につく。

 そして。

 漂う臭いにガマンして。

 中をのぞき込んでみると……

 部屋は分厚いカーテンで薄暗く、昼間なのに灯りがついていた。


「……紫音?」

「紫音さん?」

 ぱっと見、紫音の姿は無い。

 元はキレイに整理されてたらしい部屋には、酒ビンがあちこちに転がっていた。

 オトナは、普通、どれだけお酒を呑むのかは、知らない。

 だけど。


 これを全部一人で、飲んだとしたら……もしかして、見え無いところで、動けなくなってる、なんてコトは……?

 あわてて靴を脱いで、部屋の中に入った。

 とたん。

 物陰から、紫音の腕が出たかと思うと。

 わたしを、ぐいと抱き寄せ、側にいた加藤先輩を蹴り飛ばした。




 どんっ!






 先輩は、軽々と空に浮き、お尻から着地した。

「痛……ってえ!」

「し、紫音……!
 一体ナニを……」


「今度、守屋に近づいたら……
 ……殺す、と言った………!」

 
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