危険な瞳に恋してる
「違う……!
 先輩は、紫音を心配して、わざわざ、わたしを……!」

 言っているコトも、やっているコトも変な、紫音の顔を、改めて見て、わたしは、息を飲んだ。

「紫音の瞳が………真紫になってる……!」

 そう。

 灯りの下で見る瞳は。

 かすかに紫色に煌めく、なんてレベルじゃなかった。


 ……瞳は。

 べっとりと、水彩絵の具を塗ったように……紫色に濁っていた。


 瞳が、こんな色に染まってしまうほど……




 アレックスの中毒を起こしたら……





 紫音は本当に………




 ………本当に、死………?


「……殺してやる……!」

 紫音は、物騒なコトを言い放ち、なおも先輩に近づこうとする。

 それをなんとか止めながら、わたしは、先輩に叫んだ。



「先輩、逃げて……!
 そして、早く薫ちゃんを呼んで来て……!
 このままじゃ……
 本当に。
 本当に、紫音が死んじゃう………!」
 
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