危険な瞳に恋してる
「ただいまぁ~~」



 ぽふん



 部屋着に着替えもせず、自分の部屋のベッドに飛び乗って、ようやく。



 ……落ちついた。



 父さんに連れられて、家に帰りつき。

 父さんほどでは無くても、ガミガミうるさい母さんの小言と夕食を断って。

 そして。



 ミャア。



 わたしが寝ころぶと、ぴょん、とベッドに乗って来るヤツがいる。

 尻尾の長い小さな黒猫だ。

「らいむ、おいで?」

 わたしが呼ぶと、子猫は、嬉しそうに寄ってくる。

 その。

 ふわふわの背中を撫でなから、わたしは、思わず、ため息をついた。


 ……結局。

 父さんの小言は、驚くほどちょっぴりで済んだ。

 ………紫音の助け舟が、あったからだ。

「なにか、複雑な気分……」


 紫音は、嫌い。

 時々スゴく怖い上に、わたしの事を莫迦にしてからかうから。



 だけど。





 ……今日は、二回も助けて貰っちゃった……






 わたしは今まで、紫音の事どころか、村崎先生の事だって、良く知らなかったのに。






 
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