危険な瞳に恋してる
 


 どきん……



 耳をすますと、心臓の音が聞こえたような気がして、驚いた。



 ……どきん



 思わず、不思議な色の瞳のことを思い出して、もう一つ心臓の音を聞く。




 わたし。



「……わたし……紫音のコト……好きになっちゃったのかな……?」



 声に出して言ってみて、首を振る。


 ううん。違うよね。


 だって、わたし。

 加藤先輩が好きな気持ち、変わらないもの。

 わたしのこのどきどきは、きっと、困っていたところを助けてもらったからだ。

「ねぇ、らいむ。
 おまえも、わたしに拾われた時、どきどきした?」

 子猫は目を細めて、咽をゴロゴロと鳴らした。

 そう。

 この猫と同じ。

 ダンボール箱で、捨てられて。

 雨に打たれて、にゃあにゃあ鳴いている所を、放って置けなくて、成り行きで拾っちゃったのと。

 拾われちゃったのと。

 ……たぶん、同じだ。

 だから。

 だから、この思いはきっと感謝で。

『好き』じゃない。
 
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