危険な瞳に恋してる
Ⅱ章
昼間の顔
次の日の朝早く。
わたしは、学校の教室で、げほげほとむせていた。
黒板消しを叩いて、チョークの粉を払っていたんだ。
頼みのクリーナーは、電源を入れてもちっとも動かない。
しかたがないので、黒板消し二つをあわせてぱたぱたやると、煙みたいにもくもくチョークの粉が上がった。
……ツイていない時には、とことんついてない。
お金。
本当にどうしよう。
一瞬、学校に持ってきて、先生にこっそり渡そうか、とも思ったんだけど……
百万円、なんだよね。
額が大きすぎから、先生の机の上にこっそり置いても、なくなったら困るし。
だからって、先生を待って、手渡ししようにも……
渡す前に、万が一、持ち物検査でもあったら、言い訳できない。
だから、今日、学校に持ってくるのはあきらめたんだけど……
……はああああ。
げほげほげほっ!
もうっ!
ため息ついたら、モロにチョークの粉を吸い込んじゃったじゃない!
「おはよう、春陽~
大丈夫?」
わたしが涙目になっていると、教室に入ってきたコがいた。