危険な瞳に恋してる
縛り
大きな年表を半分引きずるように、わたしは、社会科準備室に、来た。
扉の前で、深呼吸を一つする。
どうか。
村崎先生が、社会科準備室に居ませんように。
テストの採点か何かで、職員室に居ますように。
こくっと唾を飲み込んで、社会科準備室の扉を開ける。
と。
そこには、誰もいなかった。
「………良かった……!
早く、年表を置いて帰ろう!」
年表の置く場所は、準備室の隣、資料室の奥だ。
わたしは、慌てて部屋に入ると、年表を、ホルダーに引っ掛けようとした。
先生が、来ない内に、早く、早く!
ところが。
焦っていたせいか、いつもは一回で引っ掛かるホルダーに掛からない。
「やだ………!
もう! こんな時に限って……!」
焦って、ガチャガチャやっていると。
突然、年表が浮いた。
そして、浮いた年表は、一回で引っ掛かる。
「……あ……?」
驚いて、振り返ると…………
………そこに、村崎先生がいた。