危険な瞳に恋してる
Ⅲ章
危険なバイト
バイト……バイト。
今まで、アルバイトの経験がないわたしに、何ができるだろう?
仕事を探しに、街へ出た。
見つけようと思えば案外。
従業員募集、とか。
スタッフ募集、とかって言うポスターをあちらこちらに貼ってある。
だけども。
そのポスターの三分の二くらいは『高校生不可』で。
残りの三分の一も、未成年は、親の承諾書が無いと雇ってくれない事がわかった。
しかも。
高校生は、時給八百円以下ばかりで。
百万円貯まるのが、何時になるか見当もつかない。
最初に、ウリは絶対駄目、と釘を刺された意味が、判った気がした。
紫音は。
わたしを……お金で縛っておく……つもりなんだ。
長く、イジメるつもりで、そんなこと言ったんだ。
やっぱり、紫音はわたしが嫌いなんだ……って。
当たり前か。
わたし……
何度も助けて貰ったのに、お礼一つ言わないヤなコだ。
挙げ句の果てに、キス一つで逃げて来て………
……嫌われちゃったよ。
たぶん。
それでもわたしの方は。
紫音のコトが好きかもしれない。
ネオンが輝き出した街の夜空を見上げて、涙がまた滲んできた。
「……へこむなぁ」
わたしが、思わず呟いた時。
声をかけて来たヒトがいた。