ファミリアストレンジャー
「ふぅ」と三上さんは小さく鼻でため息をついた。


「参ったな、君には」




ふっ、と三上さんは私を抱き寄せた。

あまりに自然すぎて、触れたか触れられなかったか一瞬わからなかった。

三上さんに抱き寄せられたと脳が理解するのに時間がかかった。



暖かい。



三上さんの鼓動が伝わってくる。


鼓動がひどく速い。



「すっごくドキドキしてますよ、三上さんの心臓」


なんだか場違いなことを口走った。


「うん、してるよ」


三上さんの声がくぐもって聞こえる。

なんだか不思議な気持ちだ。

すぐ傍に、三上さんの声がある。

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