ヒロシ君へのlove letter【短編】
「これ、君の?」

俺はあの子に話しかけた。

初めて間近で見た彼女に、ドキッとした。

「君、これ落としてたよ。」

俺は平然を装って、薄ピンク色の封筒を差し出した。

あの子は少し焦っているみたいだ。

「ありがとうございます。」

笑顔で手をさしのべてきた。

「返すわけないじゃん。」

ひょいとラブレターを届かない位置に持ち上げた。

少し意地悪をしたくなってしまったんだ。

「はあぁあぁあ?!」

そりゃ、そうだよな。

「か、返してくださいっ!」

「これ、ラブレターだろ?渡さなきゃ意味ねぇぞ。」

俺はニヤッと笑って、ラブレターをヒラヒラと揺らした。

「大きなお世話ですっ!」

「どーせ…渡そう、渡そう、っていつも思うけど…勇気がなくて先伸ばしっていうオチだろ。」

図星、みたいだ。
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