ヒロシ君へのlove letter【短編】
「…ほら。」

男の人はヒロシくんの下駄箱の目の前で止まった。

私は大きく息を吸い込んだ。

…よし。

下駄箱を開けて、ラブレターを入れた。

「…出来たじゃん。」

「…はいっ!あの、ありがとうございました。」

やっぱりこの人は、悪魔じゃなくて…天使だった。

「じゃあな。」

天使さんはさっさと靴を履き替えて、帰ってしまった。

その背中を見送って、私も帰らなくちゃ…と思ったとき、後悔した。

天使さんの名前、聞くの忘れた…。

まぁ、いっか…。
天使さんと、もう会うことも無いだろうし。

本当にいい人だったなぁ。

……ん?

私は思わず玄関を出て、立ち止まった。

………あれ?

…………どうして?
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