君が綴る物語(仮)
「月宮君、入ってきて」
話が終わったのか、名前を呼ばれた。
知っている奴が多いというのはわかっているけど、やっぱり転校初日というものは緊張するもので……
その上、もしかしたら彼女がこの教室内にいるかも知れないと思うと、必然的に俺の心音は速くなる。
俺は、教室の中を見回した。
彼女は……ここにはいない。
東の生徒が多い、そう聞いてもしかしたらと期待していたが、そんな都合のいいことあるわけないか。
そう落胆するも教室の端、窓側の後ろから二番目によく知った顔を見つけ安堵する。