ソレは若気の至りだったと言う事にしておこう。
「…ミーナ?」

紛れもなく、私は美波ことミーナ本人。久しぶりに呼ばれたあだ名に動揺を隠せない。ミーナなんて呼ぶ人物は、あの人しか居ない。

ずっと忘れられずに心の片隅に居る、元彼だ。

「…仕事だから、また、ね」

何を話したら良いのか分からずに『またね』と言って立ち去ろうとしたけれど、また会うことなんて無いだろう。

動揺から可笑しな事を言ってしまった。

「ミーナ、真面目なんだね。昔みたいにサボったりしないの?」

「…しない」

以前、この男と付き合っている時は仕事をズル休みして1日中、抱きあったりしていた。

友達から電話がくれば、私を捨てて、約束していた日でもすっぽかされた。

それでも、この男にしがみついていたのは寂しさからだったかもしれない。

今は寂しくなんてない、でも物足りなさはある。




……身体が欲している。
< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop