いつかの君と握手
「昨日、遅かったですもんね」
「ヒジリは飲みすぎだけどね。あれから結構飲んだんだ」
うへ。元気だなー。
「あ、でさあ。さっき風間さんと話したんだけど、今日の夕方にこっちを出ることにしたから。あ、ありがと」
泡まみれになりながら洗面器を探している柚葉さんに、お湯を満たしたものを手渡す。
ざぶんとかぶって空になったのを受け取り、再び満たして返す。
「夕方、ですか?」
「そう。今晩は三津の部屋に泊まって、朝になったらK駅に行こうって。
7時40分、だっけ? その時間にいけば、未来に帰れるんでしょう?」
「もしかしたら、って加賀父は言ってましたけど」
「大丈夫よう。だって風間さんが言うことよ? 間違いないって」
化粧が取れて、麻呂眉になった柚葉さんが自信ありげに笑う。
「そうです、よね」
「そうよ。だってや組の金吾様よ?」
「ですよね!」
顔を見合わせて、くすくすと笑った。
「でも、ちょっと寂しいわねー。みーちゃんが帰っちゃうのって」
濡れた髪を背中に流し、石鹸を手にした柚葉さん。
次は綺麗な肢体を泡まみれにしてゆく。
って、この言い回しは変態オヤジぽいな、あたし。
「もちろん、元の時代に戻ったらすぐに会いにいきますよ?」
「ふふ、ありがと。でもさー。それって9年後の話なんだよね。せっかく仲良くなったのに、9年も待たなくちゃいけないって、やっぱり寂しい」
そっか。あたしにとっては戻ればすぐの話なんだけど、柚葉さんから見れば9年後なんだ。
9年、か。長いよなあ。
「あの、9年後に会いに行っても、忘れないでくださいね?」
「やだ、忘れるわけないじゃない。みーちゃんって、アタシの初めての護衛隊仲間なのよ」
「あたしだって、じいちゃん以外だと初めてなんです。じゃあ、約束ですよ」
洗面器にお湯を満たして渡す。
ざばん、と柚葉さんが泡を流したとほぼ同時に、前触れもなく脱衣所への戸が開いた。
「ゆーずはっ! ヒジリくんもお風呂入るーぅ!」
「ぎゃあああああああああああ!」
「馬鹿ヒジリぃ! みーちゃんもいるのになにしてやがるっ!」
全裸の三津が飛び込んできて、あたしがお湯に頭まで浸かる間に、柚葉さんが洗面器を投げつけた。
おずおずと顔をだすと、サイアクなことに、三津がこちらにきったない股間を丸出しにした、M字開脚でダウンしており。
柚葉さんが雫を残した体で、三津に向かって蹴りを放とうとしているところだった。
「簡単に女子高生の体を拝めると思うなよ! この煩悩馬鹿!」
「し、知らなかったん、で……ぐはあっ!」
技を見たい気持ちはあるものの、三津の股間はもう二度と見たくない。
再び湯船に頭まで漬かり、遠くに三津の叫び声を聞いた。
「ヒジリは飲みすぎだけどね。あれから結構飲んだんだ」
うへ。元気だなー。
「あ、でさあ。さっき風間さんと話したんだけど、今日の夕方にこっちを出ることにしたから。あ、ありがと」
泡まみれになりながら洗面器を探している柚葉さんに、お湯を満たしたものを手渡す。
ざぶんとかぶって空になったのを受け取り、再び満たして返す。
「夕方、ですか?」
「そう。今晩は三津の部屋に泊まって、朝になったらK駅に行こうって。
7時40分、だっけ? その時間にいけば、未来に帰れるんでしょう?」
「もしかしたら、って加賀父は言ってましたけど」
「大丈夫よう。だって風間さんが言うことよ? 間違いないって」
化粧が取れて、麻呂眉になった柚葉さんが自信ありげに笑う。
「そうです、よね」
「そうよ。だってや組の金吾様よ?」
「ですよね!」
顔を見合わせて、くすくすと笑った。
「でも、ちょっと寂しいわねー。みーちゃんが帰っちゃうのって」
濡れた髪を背中に流し、石鹸を手にした柚葉さん。
次は綺麗な肢体を泡まみれにしてゆく。
って、この言い回しは変態オヤジぽいな、あたし。
「もちろん、元の時代に戻ったらすぐに会いにいきますよ?」
「ふふ、ありがと。でもさー。それって9年後の話なんだよね。せっかく仲良くなったのに、9年も待たなくちゃいけないって、やっぱり寂しい」
そっか。あたしにとっては戻ればすぐの話なんだけど、柚葉さんから見れば9年後なんだ。
9年、か。長いよなあ。
「あの、9年後に会いに行っても、忘れないでくださいね?」
「やだ、忘れるわけないじゃない。みーちゃんって、アタシの初めての護衛隊仲間なのよ」
「あたしだって、じいちゃん以外だと初めてなんです。じゃあ、約束ですよ」
洗面器にお湯を満たして渡す。
ざばん、と柚葉さんが泡を流したとほぼ同時に、前触れもなく脱衣所への戸が開いた。
「ゆーずはっ! ヒジリくんもお風呂入るーぅ!」
「ぎゃあああああああああああ!」
「馬鹿ヒジリぃ! みーちゃんもいるのになにしてやがるっ!」
全裸の三津が飛び込んできて、あたしがお湯に頭まで浸かる間に、柚葉さんが洗面器を投げつけた。
おずおずと顔をだすと、サイアクなことに、三津がこちらにきったない股間を丸出しにした、M字開脚でダウンしており。
柚葉さんが雫を残した体で、三津に向かって蹴りを放とうとしているところだった。
「簡単に女子高生の体を拝めると思うなよ! この煩悩馬鹿!」
「し、知らなかったん、で……ぐはあっ!」
技を見たい気持ちはあるものの、三津の股間はもう二度と見たくない。
再び湯船に頭まで漬かり、遠くに三津の叫び声を聞いた。