いつかの君と握手
「……大丈夫じゃなかったら、一緒に罰ゲーム受けてくれんの?」

「は?」

「校長アンド森じいとわくわくドライブ」

「こら、茅ヶ崎! なにが罰ゲームだ!」


ぺしんと尻を叩かれた。


「ちょ! 森じいそれセクハラだし!」

「安心しろ。旅のしおりで叩いた!」


意味わかんねえ。しおりだったら叩いていい、なんてわけねえだろ。


「ほら、行きましょ、大澤くん」


ぐいぐいと川上先生が大澤の腕を引いた。


「行け行け。心配せんでも病院に連れてくだけだし、後で合流するんだから。じゃあな」


のっしのしと森じいが歩き始めた。
ああ、あたしって今、猟師に仕留められた野うさぎみたい。
いや、野うさぎって言いすぎ? 野たぬき?

でもそんな感じなんだろうなあ。

歩みに合わせて揺れながら、大澤を見た。
川上先生に急かされながらも歩く大澤と目が合ったので、ひらひらと手を振った。


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