いつかの君と握手
ああ! もう言いたい。
穂積の勘違いで、別に大澤とは変な関係じゃないんだって、言いたい!
こんなの耐えらんねーし!
でも言ったら琴音に責められるし。
はわはわとうろたえていると、目の前にすう、と人影が差した。
「なにやってんの、アンタら」
天の助け!
と仰ぎ見れば残念、外れだったかもしれない。
不機嫌そうに目を細めたイノリだった。
「美弥緒が一人でいたから、ちょっと話をしていただけだよ」
「話、ねえ?」
イノリの視線は、あたしの髪を巻きつけたままの穂積の指先に注がれている。
それに気付いた穂積が、くん、と軽く髪を引いた。
ちょ。何してんのあんた。
「美弥緒がさ、暖かいとはいえ髪を濡らしたままなんだ。きちんと乾かさないとって話してたんだよ」
「ふうん。で、いつまで触ってんの?」
「え? ああ、そうだね」
するりと髪を流してから、穂積は立ち上がった。
「さて、と。先約の邪魔をするわけにはいかないから、オレは行こうかな」
むす、としたイノリに背をむけて、あたしににこりと笑ってみせる。
「じゃね。あ、もし早く話が終わるようなら、教えてくれる? 一緒に花火やろうよ」
「え。ああ、と」
「終わんねーよ。早く行け」
イノリがあたしの声を遮る。
「はいはい、じゃあ」
「あれ? 珍しい取り合わせなのね」
初めて聞く、かわいらしい声がした。
「ん? ああ、葵ちゃん。お風呂上り?」
穂積がイノリの後ろに声をかけた。
その視線の先を見れば、かわいらしい女の子が立っていた。
「うん。温泉って、いいよね。気持ちよくてずっと入ってたんだぁ」
うひゃ、こんな子がいたなんて、チェックが甘かった。
さらっさらの栗色の髪に縁取られた顔は、ニキビ一つない綺麗な白い肌。
二重の瞳はくりくりと大きく、長い睫毛が瞬きするたびに揺れている。
湯上りのせいか上気した頬はほんのりとピンク色。
ぽってりした唇も艶やかで、にっこりと弧を描いている。
なかなかの美少女。かわええー。
穂積の勘違いで、別に大澤とは変な関係じゃないんだって、言いたい!
こんなの耐えらんねーし!
でも言ったら琴音に責められるし。
はわはわとうろたえていると、目の前にすう、と人影が差した。
「なにやってんの、アンタら」
天の助け!
と仰ぎ見れば残念、外れだったかもしれない。
不機嫌そうに目を細めたイノリだった。
「美弥緒が一人でいたから、ちょっと話をしていただけだよ」
「話、ねえ?」
イノリの視線は、あたしの髪を巻きつけたままの穂積の指先に注がれている。
それに気付いた穂積が、くん、と軽く髪を引いた。
ちょ。何してんのあんた。
「美弥緒がさ、暖かいとはいえ髪を濡らしたままなんだ。きちんと乾かさないとって話してたんだよ」
「ふうん。で、いつまで触ってんの?」
「え? ああ、そうだね」
するりと髪を流してから、穂積は立ち上がった。
「さて、と。先約の邪魔をするわけにはいかないから、オレは行こうかな」
むす、としたイノリに背をむけて、あたしににこりと笑ってみせる。
「じゃね。あ、もし早く話が終わるようなら、教えてくれる? 一緒に花火やろうよ」
「え。ああ、と」
「終わんねーよ。早く行け」
イノリがあたしの声を遮る。
「はいはい、じゃあ」
「あれ? 珍しい取り合わせなのね」
初めて聞く、かわいらしい声がした。
「ん? ああ、葵ちゃん。お風呂上り?」
穂積がイノリの後ろに声をかけた。
その視線の先を見れば、かわいらしい女の子が立っていた。
「うん。温泉って、いいよね。気持ちよくてずっと入ってたんだぁ」
うひゃ、こんな子がいたなんて、チェックが甘かった。
さらっさらの栗色の髪に縁取られた顔は、ニキビ一つない綺麗な白い肌。
二重の瞳はくりくりと大きく、長い睫毛が瞬きするたびに揺れている。
湯上りのせいか上気した頬はほんのりとピンク色。
ぽってりした唇も艶やかで、にっこりと弧を描いている。
なかなかの美少女。かわええー。