いつかの君と握手
「それで、みんなここで何してるの? 祈くんと、ええと?」
穂積に向けられていた視線が、くり、とあたしに向けられた。
動きに合わせて髪がさらりと揺れる。
おお、しっかり髪を乾燥させておる。
天使の輪もあるし、きちんと手入れしてるんだろうなあ。
うーむ、これは見習うべきだろうな、あたし。
「あ、えーと。茅ヶ崎美弥緒、3組です」
多少刺激を受けつつ、自己紹介。
美少女はにこりと笑ってよろしくね、と言った。
「美弥緒ちゃんって呼んでいいかな? 私は5組の大西葵(おおにし・あおい)って言います。葵って呼んでね」
「好きに呼んで構わないよ。じゃああたしも、葵ちゃんって呼ばせてもらうね」
「うん、ありがとう。美弥緒ちゃん」
ちょこんと首を傾げて笑う顔が、なかなかに魅力的だ。
いやー、美少女の笑顔って、いいよね、何か。
キラキラしてるもんね。ラメでも飛ばしてんじゃないかってくらいにさ。
と、葵ちゃんがあれ、と呟いた。
「もしかして、今朝祈くんにおんぶされてた人かな?」
「うあ。あ、はいそうです」
やっぱり他のクラスの人も見てたのか。
もう何度も後悔したのだが、またも後悔の念が押し寄せてくる。
本当に考えなしだったよな、あたし。
「足、怪我してたんでしょ? もう平気なの?」
「あれから病院に連れて行ってもらったし、今はテーピングでがっちり固定してもらったんで、もう大丈夫」
ベンチに座ったまま処置した足をぷらぷら振ってみせると、形のいい眉をきゅっと寄せて、
「うわあ、痛そう。よかったね、祈くんがいて」
と優しく言われた。
「あ、うん、ほんとに、ね。助かりました」
でもお陰で毒針のような視線に晒されちゃったんです、と心の中で付け足した。
「ふふ、でも驚いちゃったな。まさか祈くんが女の子をおんぶするなんて、って。
穂積くんもそう思ったでしょ?」
「ああ、確かに。今まで女の子に優しくする大澤なんて見たことなかったもんな。
でも残念なんだよね。オレが見つけてたらさ、お姫様抱っこくらいしたのに、って」
「で、女子から良く思われたいんでしょ? 穂積くんったらあざといんだからー」
「あざといなんて言い方は悲しいなあ。ただ女の子にモテたいだけだよ」
「うわあ、正直なんだから。でも、素直でよろしい」
葵ちゃんは穂積と親しげに話している。
仲がいいんだなあ、となんとなしにそれを見ていると、
「あ。あのね、私、穂積くんたちと同中なの。しかもずっと一緒のクラスだったんだ」
と葵ちゃんが説明してくれた。
穂積に向けられていた視線が、くり、とあたしに向けられた。
動きに合わせて髪がさらりと揺れる。
おお、しっかり髪を乾燥させておる。
天使の輪もあるし、きちんと手入れしてるんだろうなあ。
うーむ、これは見習うべきだろうな、あたし。
「あ、えーと。茅ヶ崎美弥緒、3組です」
多少刺激を受けつつ、自己紹介。
美少女はにこりと笑ってよろしくね、と言った。
「美弥緒ちゃんって呼んでいいかな? 私は5組の大西葵(おおにし・あおい)って言います。葵って呼んでね」
「好きに呼んで構わないよ。じゃああたしも、葵ちゃんって呼ばせてもらうね」
「うん、ありがとう。美弥緒ちゃん」
ちょこんと首を傾げて笑う顔が、なかなかに魅力的だ。
いやー、美少女の笑顔って、いいよね、何か。
キラキラしてるもんね。ラメでも飛ばしてんじゃないかってくらいにさ。
と、葵ちゃんがあれ、と呟いた。
「もしかして、今朝祈くんにおんぶされてた人かな?」
「うあ。あ、はいそうです」
やっぱり他のクラスの人も見てたのか。
もう何度も後悔したのだが、またも後悔の念が押し寄せてくる。
本当に考えなしだったよな、あたし。
「足、怪我してたんでしょ? もう平気なの?」
「あれから病院に連れて行ってもらったし、今はテーピングでがっちり固定してもらったんで、もう大丈夫」
ベンチに座ったまま処置した足をぷらぷら振ってみせると、形のいい眉をきゅっと寄せて、
「うわあ、痛そう。よかったね、祈くんがいて」
と優しく言われた。
「あ、うん、ほんとに、ね。助かりました」
でもお陰で毒針のような視線に晒されちゃったんです、と心の中で付け足した。
「ふふ、でも驚いちゃったな。まさか祈くんが女の子をおんぶするなんて、って。
穂積くんもそう思ったでしょ?」
「ああ、確かに。今まで女の子に優しくする大澤なんて見たことなかったもんな。
でも残念なんだよね。オレが見つけてたらさ、お姫様抱っこくらいしたのに、って」
「で、女子から良く思われたいんでしょ? 穂積くんったらあざといんだからー」
「あざといなんて言い方は悲しいなあ。ただ女の子にモテたいだけだよ」
「うわあ、正直なんだから。でも、素直でよろしい」
葵ちゃんは穂積と親しげに話している。
仲がいいんだなあ、となんとなしにそれを見ていると、
「あ。あのね、私、穂積くんたちと同中なの。しかもずっと一緒のクラスだったんだ」
と葵ちゃんが説明してくれた。