いつかの君と握手
『ミャオ』
『美弥緒』
『は、はひ……』
間抜けにも声が甲高く裏返ったのに、二人は笑わない。
笑っていいから、この空気をどうにかしろよ。
もう心も体も持ちこたえられそうにない。限界なんですってば。
『俺……』
『オレ……』
二人が、ほぼ同時になにか言いかけた。
『いーい加減、落ち着かんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!!!!』
竜巻の如く割り込んで来た大音量の咆哮は、森じいだった。
『好きだの何だの、色気づくのは後からにしとけぇぇぇぇい!!』
拡声器片手に怒鳴り散らす姿に、生徒の視線が一斉集中した。
『今は点呼及び待機の時間だろうが! 大人しく整列するように!
班長はすぐさま点呼、報告のことっ。できない班は後で反省文を提出させるからな!』
その言葉に、異様な熱気に溢れていた空気が一気に変化した。
『反省文なんてヤダ!! ちょっと、班に戻ろ!』
『2C班!! 集合して!』
て、天の助け、ですか……?
胸を、いやメタボ腹を張って生徒を鎮圧していく森じいの姿に、思わず感涙した。
あんた、あたしのヒーローだよ、まじで。
最強のムードブレイカーだよ!
と、森じいが琴音と抱き合ったままのあたしに視線を寄越した。
『茅ヶ崎ぃ! あとでゆっくりどっちがいいか選んでやれぇぇぇぇい!』
余計な付け足しも相変わらずかい!
ブレねえな、おい!
『大澤たちもなあ、喧嘩するくらい大事な女なら、こんなに大勢の前で恥ずかしい思いさせんじゃねーぞ!
まだまだガキだなあーっ』
がははは、という豪快な笑いに、二人がはっとしたように眉を顰めた。
バツが悪そうにあたしを見て、肩で大きくため息をつく。
『わりぃ、ミャオ』
『考え不足だった』
一応森じいのお陰で、騒動は終了した。
しかしそれは始まりの一件に過ぎず、それから二人はことある毎に小さな諍いを繰り返すようになったのだった。
『美弥緒』
『は、はひ……』
間抜けにも声が甲高く裏返ったのに、二人は笑わない。
笑っていいから、この空気をどうにかしろよ。
もう心も体も持ちこたえられそうにない。限界なんですってば。
『俺……』
『オレ……』
二人が、ほぼ同時になにか言いかけた。
『いーい加減、落ち着かんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!!!!』
竜巻の如く割り込んで来た大音量の咆哮は、森じいだった。
『好きだの何だの、色気づくのは後からにしとけぇぇぇぇい!!』
拡声器片手に怒鳴り散らす姿に、生徒の視線が一斉集中した。
『今は点呼及び待機の時間だろうが! 大人しく整列するように!
班長はすぐさま点呼、報告のことっ。できない班は後で反省文を提出させるからな!』
その言葉に、異様な熱気に溢れていた空気が一気に変化した。
『反省文なんてヤダ!! ちょっと、班に戻ろ!』
『2C班!! 集合して!』
て、天の助け、ですか……?
胸を、いやメタボ腹を張って生徒を鎮圧していく森じいの姿に、思わず感涙した。
あんた、あたしのヒーローだよ、まじで。
最強のムードブレイカーだよ!
と、森じいが琴音と抱き合ったままのあたしに視線を寄越した。
『茅ヶ崎ぃ! あとでゆっくりどっちがいいか選んでやれぇぇぇぇい!』
余計な付け足しも相変わらずかい!
ブレねえな、おい!
『大澤たちもなあ、喧嘩するくらい大事な女なら、こんなに大勢の前で恥ずかしい思いさせんじゃねーぞ!
まだまだガキだなあーっ』
がははは、という豪快な笑いに、二人がはっとしたように眉を顰めた。
バツが悪そうにあたしを見て、肩で大きくため息をつく。
『わりぃ、ミャオ』
『考え不足だった』
一応森じいのお陰で、騒動は終了した。
しかしそれは始まりの一件に過ぎず、それから二人はことある毎に小さな諍いを繰り返すようになったのだった。