いつかの君と握手
ただでさえ頭の痛い問題だが、それに加えで新たな問題も起きた。


あたしは多数の女の子の敵になってしまったのだ。
二人のことを好きな女の子は想像以上に多く、彼女たちはあたしがイノリと穂積を二股かけていると考えたようだ。
茅ヶ崎美弥緒は二人の気持ちを自分勝手に踏みにじっている、と。


同じクラスの子は勿論、他のクラスの知らない女の子にまで睨み付けられたりするようになったし、
廊下を歩いていたらあからさまに指を指されて、意味ありげに囁かれるようになった。


中には本気であたしを化け猫だと思っている人もいるらしく(妖力か何かで心を操っているんだって。尻子玉説も生きてるらしい)、靴箱のなかに荒塩が盛られていたり、教科書に謎の御札がべったり貼り付けられていることもあった。
ぎゃあああ、なんて叫んで消失するとでも思われたのだろうか。


その中でもショックだったのが、悠美と神楽が離れていってしまったことだ。
二人とも、イノリか穂積(どちらかは分からない)が好きだったのだそうだ。


『どっちもキープしちゃうような人だったなんて、幻滅』


はっきりとそう告げられた。


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