いつかの君と握手
「風間さんの息子さんなら、早く言ってくれたらよかったのにい」
古いながらもエアコンが心地よく効いた部屋。
年季の入った古いこたつテーブルにジュースの缶を二本置いて、おねいさん、いや柚葉さんはうふふ、と笑った。
「ごめんなさいねえ、アタシったら勘違いしちゃって。美弥緒ちゃん、だっけ? 失礼なこと言って、ホントごめんね」
「いえいえ」
「謝るのはオレにだろ。この早とちり乳牛女」
変な体勢で腰に湿布を貼っていた半裸のままの男の人、三津さんがむすう、とした声で言った。
その頭にがっこーん、と木のお盆が投げつけられる。
「それはテメエが浮気ばっかしてるからだろうが、粗●●(自主規制)野郎!」
「いってえ! 馬鹿、オマエ子どもの前で汚え言葉使うなっ」
さて。
ようやく落ち着いた(?)ので、この状況を説明することにしよう。
まず目の前にいる二人から。
スウェットパンツに上半身裸、チャラめの金髪男が三津聖(みつ・ひじり)さん。
赤ランジェリーから黒のキャミワンピに着替えた巨乳おねいさんを、葛西柚葉(かさい・ゆずは)さんという。
二人は恋人同士であるらしく、柚葉さんはあたしのことを三津さんの浮気相手だと勘違いしたようだ。
それで痴話喧嘩(柚葉さんの一方的な暴力だったといえなくもないが)に発展し、三津さんの腰が重大ダメージを受けた、と。
そして、その三津さんであるが、どうしてイノリが知っていたのかというと、加賀父が立ち上げたという劇団に所属しているのだそうだ。
はい、新情報! 加賀父は俳優さんだったようです。
なんとー! もしかしてもしかしてイケメンさんなんじゃないの、これー。
きゃー、わくわくが止まらないー。
個人的にも会いたさ急上昇。
ってまあ、あたしの勝手な期待はさておき本題へ。
腰の痛みに凹んでいる三津さんの話を聞くと、加賀父は劇団を信頼できる人に任せ、田舎に帰ってしまったのだそうだ。
しかも、三津さんはその田舎がどこなのか知らないとのこと。
振り出し。話は振り出しに戻ったんですよ。
あー、ドア開ける寸前までは、いけてたのになー。
で、どうして三津さんがここにいるのか、と言うと。
加賀父は帰郷の際、三津さんたち劇団員に、この部屋を開放していったのだそうだ。
向こう一年分の家賃を支払っているので、芸向上のために使ってくれると嬉しい、と。
その素晴らしい好意を有難く頂戴したのが、三津さん。
家賃を支払えず、行き先に困っていた三津さんは、この部屋に転がり込んだのだった。
「いや、オレがこの部屋の管理を引き受けただけなんだって。
劇団の奴等もここを溜まり場にしてるからさー、やっぱ管理人は必要っしょ。現に今日もこれから何人か集まって飲む……じゃない、ミーティングするんだよ」
慌てて言うが、見渡せば三津さんの荷物ばかりのようだし、彼女まで連れ込んでいるというのだから、説得力が全く無い。
完全に自分の部屋にしてるじゃないっすか。
だいたい、管理人だというのなら、流し台くらい綺麗に保っておけ。
「ねえ、あんたの仲間で風間さんの実家の場所知ってる人いないの? 神部さんとか」
「知らねーと思うけどな。ケー番も変えてるみたいだ、って神部さんが言ってたし」
柚葉さんは劇団員ではないらしい。
あのでかおっぱいは舞台上で映えるだろうに……って実際はどうなのかは分からんが。
古いながらもエアコンが心地よく効いた部屋。
年季の入った古いこたつテーブルにジュースの缶を二本置いて、おねいさん、いや柚葉さんはうふふ、と笑った。
「ごめんなさいねえ、アタシったら勘違いしちゃって。美弥緒ちゃん、だっけ? 失礼なこと言って、ホントごめんね」
「いえいえ」
「謝るのはオレにだろ。この早とちり乳牛女」
変な体勢で腰に湿布を貼っていた半裸のままの男の人、三津さんがむすう、とした声で言った。
その頭にがっこーん、と木のお盆が投げつけられる。
「それはテメエが浮気ばっかしてるからだろうが、粗●●(自主規制)野郎!」
「いってえ! 馬鹿、オマエ子どもの前で汚え言葉使うなっ」
さて。
ようやく落ち着いた(?)ので、この状況を説明することにしよう。
まず目の前にいる二人から。
スウェットパンツに上半身裸、チャラめの金髪男が三津聖(みつ・ひじり)さん。
赤ランジェリーから黒のキャミワンピに着替えた巨乳おねいさんを、葛西柚葉(かさい・ゆずは)さんという。
二人は恋人同士であるらしく、柚葉さんはあたしのことを三津さんの浮気相手だと勘違いしたようだ。
それで痴話喧嘩(柚葉さんの一方的な暴力だったといえなくもないが)に発展し、三津さんの腰が重大ダメージを受けた、と。
そして、その三津さんであるが、どうしてイノリが知っていたのかというと、加賀父が立ち上げたという劇団に所属しているのだそうだ。
はい、新情報! 加賀父は俳優さんだったようです。
なんとー! もしかしてもしかしてイケメンさんなんじゃないの、これー。
きゃー、わくわくが止まらないー。
個人的にも会いたさ急上昇。
ってまあ、あたしの勝手な期待はさておき本題へ。
腰の痛みに凹んでいる三津さんの話を聞くと、加賀父は劇団を信頼できる人に任せ、田舎に帰ってしまったのだそうだ。
しかも、三津さんはその田舎がどこなのか知らないとのこと。
振り出し。話は振り出しに戻ったんですよ。
あー、ドア開ける寸前までは、いけてたのになー。
で、どうして三津さんがここにいるのか、と言うと。
加賀父は帰郷の際、三津さんたち劇団員に、この部屋を開放していったのだそうだ。
向こう一年分の家賃を支払っているので、芸向上のために使ってくれると嬉しい、と。
その素晴らしい好意を有難く頂戴したのが、三津さん。
家賃を支払えず、行き先に困っていた三津さんは、この部屋に転がり込んだのだった。
「いや、オレがこの部屋の管理を引き受けただけなんだって。
劇団の奴等もここを溜まり場にしてるからさー、やっぱ管理人は必要っしょ。現に今日もこれから何人か集まって飲む……じゃない、ミーティングするんだよ」
慌てて言うが、見渡せば三津さんの荷物ばかりのようだし、彼女まで連れ込んでいるというのだから、説得力が全く無い。
完全に自分の部屋にしてるじゃないっすか。
だいたい、管理人だというのなら、流し台くらい綺麗に保っておけ。
「ねえ、あんたの仲間で風間さんの実家の場所知ってる人いないの? 神部さんとか」
「知らねーと思うけどな。ケー番も変えてるみたいだ、って神部さんが言ってたし」
柚葉さんは劇団員ではないらしい。
あのでかおっぱいは舞台上で映えるだろうに……って実際はどうなのかは分からんが。