いつかの君と握手
ねねねねね姐さん!

素晴らしいです。迷いなき制裁に、感服いたしました。
不肖、茅ヶ崎美弥緒。姐さんの舎弟として志願する所存であります!

しかし、男のセレクトは如何なものかとも思います。
姐さんならもっといい男が寄ってくるよ、絶対。

というわけで、姐さんに首根っこを押さえつけられ、半強制的に頭を下げさせられた三津に冷ややかな眼差しを送ってやった。
アンタは捨てられないように人生修行しやがれ。


「比奈子ちゃんに連絡してやんなよ。知ってるかもしれないんでしょ?」

「あ、ハイ」


正座した三津がケータイを取り出す。
コール音がこちらにまで響いてきたが、相手は出なかった。


「出ねえな。あいつ、必要なとき以外電話に出ねえんだよなー」

「それはアンタが不必要なときにもかけるからでしょ。まさかその子にもちょっかいかけたんじゃ……」

「ないない。比奈子にはオレの対女体センサーが反応したことがない。たたねーもん」

「子どもに汚い言葉使うなっつーたのはアンタでしょうが、この馬鹿!」


うーん、悔しいが、この二人の会話は結構好きかもしれない。
三津の馬鹿さ具合も、こちらに害がなければ笑ってみていられるし。


「あ、今日の飲み会に確か比奈子も来るぞ! その時訊いたらいいんじゃん?」


名案! と顔を輝かせた三津に、柚葉さんの顔が引きつった。


「は? あんた今日は男だけの集まりだから帰れってアタシに言わなかったっけ?」

「は!! え、えーと、比奈子はオレ判定で女じゃないってことで、OK?」

「じゃあ判定落ちしたのはあと何人いるのかしら……?」

「え!? えー、と。2人? あは?」

「死ね」


ごっすごっすと蹴りを入れる柚葉さんの勇姿を眺める。
うーん、いい蹴りだ。

見惚れていると、ことんと右腕に重みを感じた。

ん? と確認すれば、イノリがあたしに体を預けてすうすうと寝息を立てていた。


「あ。イノリってば寝てる」


「**市から歩いて来たんだっけ? こんなに小さいんだもん。疲れて当たり前だよねー」


三津からイノリに視線をやった柚葉さんが小さな声で言った。

「かわいい寝顔だあ。ここ、三津の使ってる布団しかないんだけど、いいかなあ?」

「借りていいんですか? じゃあ、お願いします」

「そっちの襖の向こうに、もう一部屋あるんだ。そっちに寝かせよう」


イノリの体を預かっているせいで身動きのとれないあたしに代わり、柚葉さんが隣の和室に布団を整えてくれた。
一応予備くらいはあるのよ、とシーツまで取り替えてくれたことに感謝。


「いいわよ、こっちに寝かせても」

「ありがとうございます。よいしょ、と」


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