いつかの君と握手
「なんだよ。オレだってすげえかっこいい大人だぞ?」
「父さんのほうがかっこいいもん」
「確かに、風間さんのほうがかっこいいわ。三津なんかと大違い」
「柚葉! オマエはオレを誉めとけ」
「……よし、これから、おれって言う」
「は?」
イノリの大きな呟きに、3人で問い返した。
視線を集めたイノリは、宣言するように言った。
「だから、これから『おれ』って言う。『ぼく』はやめる」
「お? ああ、そう」
「パンツはすぐに変えられないけど、それは変えられるから」
うん、と自分に確認するように頷いたイノリ。
「これからは、おれって言うんだ。大人になるんだ。
ミャオ、おれ、これで大人になれるかなあ?」
「な、なれるさー。すんげえかっこいい大人の男になるんじゃないかな?」
あたしの言葉に、イノリは嬉しそうに笑った。
「やだ、かわいい……」
柚葉さんがぽろりとこぼした言葉に、深く同意した。
かわいいでしょ、この子!
もうもうもう、たまんねえんですよ。
しかもなに、これ。
『ぼく』から『おれ』への背伸びの瞬間って!
たまんねーし、もう!
「かわいくないよ! 柚葉お姉ちゃん。ぼ……おれ、男だぞ!」
ぷう、と頬を膨らませての抗議。
ぼくと言い間違えかけての訂正に、思わず柚葉さんと悶え転がってしまったのは、言うまでもない。
ぎゃあぎゃあと二人で転がっていると、、トントン、とドアをノックする音がした。
玄関のドアらしい。
「誰だろ。はーい」
確実にわざとだろう、三津を思いっきり踏みつけて、柚葉さんは玄関へ向かった。
「どちらさまですかー?」
「こんにちわぁ。比奈子ですぅ」
間延びした女の子の声がした。
「へ? 比奈子、ちゃん?」
「はーい。そうですう。あのう、こちらに祈くん、いるんじゃないかと思ってきましたぁ」
「へ?」
何故分かったんだろう?
イノリと顔を見合わせた。
「おい」
酷く低い声がして、それは三津が発したものだった。
「父さんのほうがかっこいいもん」
「確かに、風間さんのほうがかっこいいわ。三津なんかと大違い」
「柚葉! オマエはオレを誉めとけ」
「……よし、これから、おれって言う」
「は?」
イノリの大きな呟きに、3人で問い返した。
視線を集めたイノリは、宣言するように言った。
「だから、これから『おれ』って言う。『ぼく』はやめる」
「お? ああ、そう」
「パンツはすぐに変えられないけど、それは変えられるから」
うん、と自分に確認するように頷いたイノリ。
「これからは、おれって言うんだ。大人になるんだ。
ミャオ、おれ、これで大人になれるかなあ?」
「な、なれるさー。すんげえかっこいい大人の男になるんじゃないかな?」
あたしの言葉に、イノリは嬉しそうに笑った。
「やだ、かわいい……」
柚葉さんがぽろりとこぼした言葉に、深く同意した。
かわいいでしょ、この子!
もうもうもう、たまんねえんですよ。
しかもなに、これ。
『ぼく』から『おれ』への背伸びの瞬間って!
たまんねーし、もう!
「かわいくないよ! 柚葉お姉ちゃん。ぼ……おれ、男だぞ!」
ぷう、と頬を膨らませての抗議。
ぼくと言い間違えかけての訂正に、思わず柚葉さんと悶え転がってしまったのは、言うまでもない。
ぎゃあぎゃあと二人で転がっていると、、トントン、とドアをノックする音がした。
玄関のドアらしい。
「誰だろ。はーい」
確実にわざとだろう、三津を思いっきり踏みつけて、柚葉さんは玄関へ向かった。
「どちらさまですかー?」
「こんにちわぁ。比奈子ですぅ」
間延びした女の子の声がした。
「へ? 比奈子、ちゃん?」
「はーい。そうですう。あのう、こちらに祈くん、いるんじゃないかと思ってきましたぁ」
「へ?」
何故分かったんだろう?
イノリと顔を見合わせた。
「おい」
酷く低い声がして、それは三津が発したものだった。