いつかの君と握手
あたしが何か言う前に、悠美と神楽が答えてしまっていた。
二人とも心なしか頬が紅潮している。
しかも、すごく嬉しそうに大澤の顔を見つめている。
え、なに。大澤のこと、気に入ってたりするの?
「じゃあ、よろしく」
小さく頭を下げる大澤。
それからついとあたしに視線を向けた。
「……茅ヶ崎、さん。よろしく」
「お、う。よろしく?」
何故に疑問系? あたし。
つーか、どうしてあたしと同じ班にくるんだ、大澤。
あんたと一緒の班になりたがってる女の子は、他にたくさんいるのに。
あんたなら、5人の女の子をはべらすハーレムチームを結成することも可能だろうに。
ちょろりと辺りを見回せば、「なんだと!?」と顔色を変えた女の子が数人確認できた。
男女混合ってことで、期待してたんだろうなあ。
あの、なんなら代わりましょうか、と言いたくなってしまう。
「そろそろ決まったー? 確認するよー」
教室内の妙な空気を一掃するように、田中くんの声が響いた。
「えー……と。うん、できてるみたいだね。あ、オレが決まってないんだった。5人しかいない班ないー?」
田中くん、周囲の確認に気を取られていて自分があぶれたらしい。
仕事熱心だなあ。
だから学級委員なんて役をやってるのかもしれないけど。
「あ、茅ヶ崎さんのところ、5人だね。オレもそこにいい?」
尊敬の眼差しを向けたらば、ばち、と目が合い、田中くんはにこりと笑った。
おお、いい笑顔頂きましたー。 じゃなくて。
「あ」
「うんっ、いいよ!」
あたしよりも早く、悠美・神楽ペアが再び嬉しそうに声をあげた。
「ありがとう。 じゃあこれから班内での係決めを行います。班長や保健係とか、全員何かの担当になるからね。いまから用紙を配るので、それに記入してオレに提出してー」
田中くんはさっさと用紙を配り始めた。
「ねえ! うちの班、男子のレベル高すぎじゃない!?」
悠美たちが真っ赤になった顔を寄せて、きゃあ、とかわいらしい声をあげた。
「ヤバい! 旅行、めちゃくちゃ楽しみになってきたあ」
「どうしよう。今からどきどきしてきたっ」
……そこの二人ー。
ひそひそ話しているつもりかもしれないけど、多分その会話、大澤に聞こえてるよ。
少し離れたところに立つ大澤をちらりと窺った。
何も聞いてませんというように、つん、と顔を背けて、窓の向こうを見ている。
大澤の身長は高くて、椅子に座っているあたしは結構見上げなくてはいけない。
いつもと少し違う角度から見る顔がなんとなく新鮮で、ついまじまじと見てしまう。
二人とも心なしか頬が紅潮している。
しかも、すごく嬉しそうに大澤の顔を見つめている。
え、なに。大澤のこと、気に入ってたりするの?
「じゃあ、よろしく」
小さく頭を下げる大澤。
それからついとあたしに視線を向けた。
「……茅ヶ崎、さん。よろしく」
「お、う。よろしく?」
何故に疑問系? あたし。
つーか、どうしてあたしと同じ班にくるんだ、大澤。
あんたと一緒の班になりたがってる女の子は、他にたくさんいるのに。
あんたなら、5人の女の子をはべらすハーレムチームを結成することも可能だろうに。
ちょろりと辺りを見回せば、「なんだと!?」と顔色を変えた女の子が数人確認できた。
男女混合ってことで、期待してたんだろうなあ。
あの、なんなら代わりましょうか、と言いたくなってしまう。
「そろそろ決まったー? 確認するよー」
教室内の妙な空気を一掃するように、田中くんの声が響いた。
「えー……と。うん、できてるみたいだね。あ、オレが決まってないんだった。5人しかいない班ないー?」
田中くん、周囲の確認に気を取られていて自分があぶれたらしい。
仕事熱心だなあ。
だから学級委員なんて役をやってるのかもしれないけど。
「あ、茅ヶ崎さんのところ、5人だね。オレもそこにいい?」
尊敬の眼差しを向けたらば、ばち、と目が合い、田中くんはにこりと笑った。
おお、いい笑顔頂きましたー。 じゃなくて。
「あ」
「うんっ、いいよ!」
あたしよりも早く、悠美・神楽ペアが再び嬉しそうに声をあげた。
「ありがとう。 じゃあこれから班内での係決めを行います。班長や保健係とか、全員何かの担当になるからね。いまから用紙を配るので、それに記入してオレに提出してー」
田中くんはさっさと用紙を配り始めた。
「ねえ! うちの班、男子のレベル高すぎじゃない!?」
悠美たちが真っ赤になった顔を寄せて、きゃあ、とかわいらしい声をあげた。
「ヤバい! 旅行、めちゃくちゃ楽しみになってきたあ」
「どうしよう。今からどきどきしてきたっ」
……そこの二人ー。
ひそひそ話しているつもりかもしれないけど、多分その会話、大澤に聞こえてるよ。
少し離れたところに立つ大澤をちらりと窺った。
何も聞いてませんというように、つん、と顔を背けて、窓の向こうを見ている。
大澤の身長は高くて、椅子に座っているあたしは結構見上げなくてはいけない。
いつもと少し違う角度から見る顔がなんとなく新鮮で、ついまじまじと見てしまう。