Raindrop~Mikoto side
カーテンの隙間から差し込んでくる茜色に照らされた、鮮やかな青い海のポストカード。

そのポストカードの表に書いてある懐かしい字に、汗に濡れた肌がすうっと冷えた。


『この間はありがとう。実は妻が君のファンで。知り合いなら食事に誘ってくれと言われているんだ。君さえ良かったら、今度』


──今度、家に招待したいんだけど、どうかな。


……どう、かな?

どうかな、ですって?


衝動的にポストカードを真ん中から破こうと両手で握り締めて。

一呼吸置いて……なんとか感情を押し留めた。


勇人さんの中ではもう、私とのことは過去のことなんだ。

元カノが結婚式に顔を出してくれて「おめでとう」って言ったら、それで全部丸く収まったことになるんだ。

……いえ、収まっているの。収まっているはずなの。

こんな手紙を寄越すなんて無神経だ、非常識だと──怒る私の方が非常識なのかもしれないけれど。



……新婚のラブラブぶりを、見せようっていうの? この私に?

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