Raindrop~Mikoto side
「そ、そんなに……作ってくれたの?」

「ええ。水琴さん、だいぶお疲れのようでしたし、昨日も体調が悪そうで心配していたところでしたので。……余計なことをしてしまいましたか?」

「い、いえ、そんなことはないの。ありがとう……凄くうれしいわ。でも」

尊敬する人の息子さんになんてことをさせているのか、と。

先程から体の震えが止まらない。

「気にしないでください。僕、料理するのが好きなんですよ。それで水琴さんが喜んでくれるのなら、僕も嬉しいですから」

にっこりと、かわいい笑顔。

それをぽかんと眺めていると、冷めないうちにどうぞ、と声をかけられ、慌てて茶碗を手にし、一口飲んだ。

「……おいしい」

ムカついた胃にも染み渡る、優しい味だ……。

「良かった」

柔らかく微笑む美少年と、手のひらから伝わってくる温かい茶碗の温度に、ふっと力が抜けていくのを感じた。

──こんなにちゃんとしたものを食べる朝なんて。

何年ぶりだろう……。

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