Raindrop~Mikoto side
「いいじゃない。もう恥ずかしいところは全部見られちゃったんだから。これ以上恥ずかしいことなんてないでしょ」

と、柚貴くん。

「ねぇ。酔っ払いに引っぱたかれるわ、吐かれるわ、部屋はゴミの山だわ。お坊ちゃんには災難だったよねぇ。おまけに料理まで出来ないとかどんだけだよ。そこまで知られたらねー」

「普通引くよねー」

「引くねー。橘和音、凄いよねー。懐が深いよねー」

「ねー」

アキちゃんと柚貴くんは顔を見合わせ、笑いながら頷きあう。

そうして2人は同じ笑顔で私を見下ろし。

「ま、頑張りなよ」

と。

声を揃えて言った。



これ以上の醜態は晒せない。

これから名誉挽回するのよ。

出来るところを見せ付けて、再び優しくて綺麗なお姉さんの称号を手に入れなければ!


──そう意気込んで、部屋のお掃除も完璧にして。

迎えた土曜日のレッスン後の料理教室にて。

< 163 / 251 >

この作品をシェア

pagetop