Raindrop~Mikoto side
朝食に食べられそうな和食メニューを作ろうと、和音くんは考えてきてくれたのだけれども。

「えいっ!」

卵をボウルに叩き付けて割ろうとしたら、力が強すぎたのか、卵はゴチャゴチャになって殻ごとボウルの中に落ちた。

「あ……あはは、ちょっと力が入りすぎたみたい。もう一個割るわね」

平静を装い、もう一度卵をぐしゃり。

……ぐしゃり、という音がする。

テレビの料理番組で見るあの軽快な音は、どうやったら出るのかしら。

そう思いながらぐしゃり、ぐしゃりと割り続け、ついに一個もまともに割ることが出来ずに1パックが無くなった。


チーン。


無残な卵の残骸に、高い鈴の音が頭の中で鳴り響く。

「あ……あの、ええと」

卵もまともに割れなかった……と冷や汗をかいている横で、和音くんがポカンとした顔をしている。

「ごめんなさい。呆れるわよね」

「……いえ。呆れるというか……思ったよりも強敵でビックリしました」

「ソ、ソウデスヨネ」

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