Raindrop~Mikoto side
ああ、全然名誉挽回なんて出来ない。更に駄目女だと思われた。……哀しい。

「ええと……確認なんですが。他に出来ないことはなんですか?」

その質問に、私はどうしようか迷ったけれど。

もう見栄を張っても仕方ないし、開き直って素直に指導を受けた方が良いと思った。

「全部です」

真剣な目でそう言ったら、和音くんは一瞬黙ったけど、すぐに頷いた。

「……分かりました」

……何か決意を新たにしたような眼差しだ。

「とりあえず、これだけ卵がありますから、卵焼きを作ってみましょう。炊き込みご飯と味噌汁も……と思いましたが、ご飯は炊くだけにして、あとは全部次回にしましょう。おひたしを作ったり、魚を焼いたことは?」

「ありません」

「じゃあ、それも次回に」

そう話しながら、和音くんはボウルに入った卵の殻を丁寧に菜箸で取り始めた。

「すみません先生……」

「先生じゃありませんよ」

軽く吹きだす和音くん。

菜箸を持つ器用な手は、次々と殻を拾っていく。感動するくらい早い。

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