Raindrop~Mikoto side
「それじゃあ、味をつけましょう」

「はいっ」

手に持った砂糖ポットから、スプーンでざくっと砂糖を掬い、卵の入ったボウルに入れようとしたら。

ぼそっと。

砂糖ポットの方から砂糖が落ちた。

……持ち方が斜め過ぎたのがいけなかった。黄色の中に白いお山が出来てしまった。

「……水琴さん、甘い方がお好きですか?」

「そ、そうね、どちらかといえば」

「じゃあ大丈夫です。…………たぶん」

ぼそりと不安になるようなことを呟かれたけれど、きっと大丈夫。ケーキは好きだもの。多少甘くてもなんとかなる。


それからフライパンを用意して、いよいよ卵を流し入れる……というところで。

和音くんの携帯が鳴り出した。

「あ、すみません」

「ううん、どうぞ、構わずに出て」

「じゃあ、ちょっと待っていてくださいね」

和音くんがキッチンから出て行ったので、私は大人しく待つことにした。

少し待っていると、フライパンからもくもくと煙が上がりだした。

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