Raindrop~Mikoto side
「え、ええと。余計なことをしてごめんなさい……」

ぶすぶすと黒い煙を吐く卵焼き(黒こげ)を見下ろし、しゅん、と項垂れる。

更に悪い印象を与えてしまった……と落ち込んでいると。

くすくすと笑い声が聞こえてきた。

「いえ、こちらこそ、途中で席を外してすみませんでした。これからは調理中に水琴さんから離れないようにします」

笑いを堪えながらそう言われ、私は恥ずかしさに顔を赤くした。

「ご、ごめんなさい……」

「大丈夫ですよ。火事にはなりませんでしたから。……焦げた部分を取り除けば食べられるんじゃないですか?」

「えっ、これを食べるつもりなの!?」

「だって水琴さんが初めて作った料理でしょう? いただきますよ」

「で、でも、こんなの食べたらお腹壊してしまうわよ……?」

「ただ焦げただけですから、平気ですよ」

と、和音くんは、まな板の上に卵焼きを引っくり返し、こげを取って。

出てきた黄色い部分をそのままパクリと口にした。

「……ちょっと甘すぎでしたね」

そう言って可笑しそうに笑う和音くんに、なんだかじーんとしてしまう。


この子は本当に優しい子だ。

和音くんのお嫁さんになる人はしあわせだろうなぁ……。


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