Raindrop~Mikoto side
和音くんといると、いつも自然と笑顔になれる。

勇人さんといたときは彼が5つ年上だったせいもあって、随分背伸びしていたんだけどな……なんて思って。

思わず苦笑する。

何を比べているのだろう、と。


「水琴さん」

何回目かの料理教室の日。

いつものようにキッチンに並んで立つ和音くんに声をかけられた。

「えっ?」

「それは……ウサギではありませんよね」

苦笑している彼をきょとんとしながら眺めた後、自分の手元に目を落とす。

花音ちゃんに見栄を張り、『ウサギのクッキーを作ってきてあげる』と約束をしてしまった私は、和音くんに泣きついて今、こうしてウサギ型クッキーを作っているところなのだけれど。

ウサギの顔の形をした型で生地をくりぬいたはずの私のウサギは。

「は、花みたいな形ね?」

「……アメーバですよ」

と、肩を揺らしながら笑われる変な形になっていた。

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