Raindrop~Mikoto side
クリスマス当日。

白い息を吐き出しながら、玄関ドアの外側にピンクのブリザードローズを使ったリースを飾り付けた。

「よしっ」

もうすぐ和音くんと約束した時間だ。

きっちりしている彼のことだから、時間通りにやってくるに違いないと、ドアを閉めて玄関で待つ。

リビングから漂ってくるのは、昨晩から四苦八苦しながら作り上げた料理の甘い匂い。

今日はただの料理教室ということになっているから、まさかもう料理が出来ているなんて思わないだろう。

壊滅的に料理下手なこの私が、教えてもらっていない料理をひとりでも作れたんだって。

「……驚いてくれるかしら」

わくわくと胸を弾ませながら、クラッカーをひとつ手にする。


ほどなくして、玄関チャイムが鳴り響いた。

私は嬉々として、そのドアを開け。

「メリークリスマース!」

と、クラッカーを上に向けて鳴らした。


切れ長の目をぱっちりと丸くして驚く和音くんを見て、「やった」と心の中でガッツポーズをした。

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