Raindrop~Mikoto side
ずっと弾きっぱなしだったからだ、と思ってテーブルの上に視線を落とすと、和音くんがそれに気づいて、スッとグラスを差し出してくれた。

礼を言ってそれを受け取りながら、和音くんの隣に腰を下ろす。

そうして、ずっと気になっていたことを訊ねてみた。

「ところで、さっきから気になっていたのだけれど、これはなぁに?」

と、和音くんの向こう側にある白い箱を見る。

大きさからして、ケーキだろうと思うのだけれど。

「なんでもありませんよ」

そう和音くんは言う。

でもきっと。

「ケーキじゃないの?」

私がケーキを用意していたから、出しそびれたものだと思う。

和音くんの向こう側に手を伸ばし、白い箱を掴む。

制止しようとするかのように和音くんが手を挙げかけたけど、それに気づかないフリをして持ち手を開けてみたら、やっぱり。

「すごい、何これ!」

白い生クリームでデコレートされたスポンジに、ピンクのかわいらしい花が飾られたホールケーキ。

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