Raindrop~Mikoto side
和音くんとは、しばらくお酒は飲まないと約束をしている。

その約束を破ったわけではないと必死に説明してから、そんなことを弁明している場合ではないとキッチンへ駆け込み、グラスにミネラルウォーターを注いで大急ぎで和音くんへ手渡した。

「はい飲んで!」

押し付けるように渡したそれを、和音くんは促されるままにゴクリと飲み込む。

口元からグラスを離した彼の漆黒の瞳が、ゆらり、と揺らめいたように見えた。

ぐい、とグラスを突き返される。

「帰ります」

そう言いながら、ドアに向かって歩き出す和音くん。

「和音くん? もっとお水飲まないと駄目よ、ここに座って……」

どうしたのだろうと彼を追いかけていくと。

細い身体がグラリと倒れ、壁にぶつかってそのまま床に崩れていった。

「和音くんっ!」

グラスを床に置き、壁に寄りかかって座り込んだ彼の肩を掴んだ。

「ああ、どうしよう……ごめんなさい、和音くん、和音くん、しっかりして!」

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