Raindrop~Mikoto side
お酒のせいできっと頭が混乱しているんだと思い、身を捩って抵抗しようと思ったのだけれど。

「……水琴、さん」

囁かれる私の名前に、彼が間違えてないことを知らされ、抵抗の力が一瞬緩んだ隙に。

冷たい唇が、私のそれと重なっていた。


ただ触れただけの唇はすぐに離される。

何が起きたのか。

頭の中が真っ白だ。

目の前にある私を見つめる静かな漆黒の瞳がぼやけ、再び冷たく濡れた唇が重なった。

そっと触れて、離れて。

またすぐに触れた和音くんの唇が、私の唇の形をなぞる。

どくりと身体の奥が揺れ動いて、真っ白だった頭がようやく動き出した。

「や、和音く、だめ」

逃げようとしたけれど、いつの間にか強く腰を引かれていて、後頭部は大きな手で包み込まれていた。

思っていたよりもずっと力が強い。

抗えない。


『襲われても文句言えない状況を作り出してるんだからね』


アキちゃんの声が頭の中に響き、必死に違う違うと抵抗した。

けれども、どんどん深く絡め取られていく私は、抵抗する力さえ奪われて。

どさりと、床に押し倒された。

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