Raindrop~Mikoto side
首筋にかかる吐息がくすぐったくて身を捩ったけれど、上に圧し掛かる体が重くて動けなかった。

「重いわ、和音くん……」

はあ、と息をついて和音くんの肩をポンと叩く。

それでもまったく反応はなく、ただ、静かな寝息がするだけ。

人に抱きついたまま眠るなんて子どもみたいだと、微笑ましくもあり、愛しくもあり。

クスリと笑いながら腕を伸ばし、和音くんの背に回した。

細いように見えて、結構広い背中をぎゅっと抱きしめて、ほうっと息を漏らす。

トクトクと鳴るどちらのものか分からない鼓動と、温かな重み。

それがなんだか凄く心地良くて、しばらくそのままでいた。

……のだけれど。

「っ!」

急に、何をしているのかと我に返り、力の限り和音くんを押しのけた。

ごとり、と音を立てて和音くんの体が横に転がる。

「あ、ああっ、ごめんなさいっ」

慌てて身を起こして顔を覗き込んだけれど、まったく起きる気配はなかった。

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