Raindrop~Mikoto side
「え……あの」

あまりの提案に、なかなか考えがまとまらない。

確かに私はこの人に特別な感情があるわけではないし、自由にしてくれるというのは魅力的な提案かもしれないけれど。

その『自由』は、あまりにも。


「こう言ってはなんだけど。君に選択権はないよね」

「それ、は……」

「もちろん、対外的には仲の良い夫婦で通すよ。その辺はうまくやる。君もその辺りを気をつけてくれれば、誰と付き合おうが構わない」

「でも……」

「俺は君の父上の尻拭いをしてみせる。必ずだ。だから多少のことには目を瞑って欲しい」

「……どうして、そこまでして。恋人とのことは考えなかったのですか」

「俺の選択肢にはなかったな」

「どうして」

「彼女は出自も今の職業も一条には見合わないからね。俺のイメージを損なう」

……絶句した。

自分の恋人をそんな風に言うなんて。

そんな理由で、愛する人との結婚を捨てるなんて、と。

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